ミニマリストに聞いてみた
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目次
【ミニマリストに聞く①】なぜミニマリストになれないのか【ゴールが違う】
「ミニマリストって憧れる」「断捨離むっず」「実際どんな感じ?」 聞いてみたら、みんな違った 遺品整理をすると大抵の人はミニマリストの部屋みたいになる。 余命を前にするとほとんどのものに価値を見いだせなくなるし、あの世に持っていけるのって思い出だけなんだよね! んで、私みたいなのもいっちょ前にキレイな部屋になったりしたんだけどそこで接点がうまれるのが「ミニマリズム」という思想。 よく知らなかったのでちょっと聞いてみたら、意外な世界が広がっていた。 入院やボランティアで聞いたミニマリストの小話。 "しうかつ" ...
「菜食主義」といっても種類があるように
「ミニマリスト」といっても人それぞれ。
どう見てもマキシマリストな人も
ミニマリストから見たら
「実はミニマリストだよ」
という事が多々ある。
発端のミニマリズムと
世間に定着してしまったミニマリスト像が違うからだ。
"しうかつ"です。
詳しくはプロフィールへ。
毎日ツイッターでリングフィットアドベンチャーやFitBoxing2プレイ
- 元商社マン→お国に年1億販売
- 難病→入院費100万連発→貯金が吹き飛んだ上に退職
- 国と接していた時の知識をフル活用→支援制度だけで節約生活
どこかでズレたミニマリスト像
ひとくちに「ミニマリスト」といっても
もう現在では様々に枝分かれして多種多様なカテゴライズが増えた。
環境系であったりマネタイズ向けであったり。
枝分かれの元になったのはアメリカといわれている。
さらに元をたどったりオリジナルを探そうとすれば起源を検索できるが、そこに意味はないだろう。
ほとんどの場合、仏教や日本の「千利休」みたいな考え方に行き着くからだ。
ザックリといえば、
①ゼロに足す最小限はなにか
②どこまで引き算できるか
それを生活に落とし込むと、
①自分にとって必要不可欠な物とは
②どこまで捨てても幸せでいられるか
というライフハックになった。
しかし元ネタともいわれる日本ではなぜか「ミニマリストの部屋」という典型的なイメージが根付いていて、その思考や目的が抜けている。
「なにもない美しい部屋」
「バズる映え部屋」
「ベッドがないコーヒーミル部屋」
マネする内に気がついてミニマリストになる人もいるが、本来は内面・主観が先に来ていないと結局バズる部屋で幸せに生活するのは難しいだろう。
なぜ日本に「ミニマリストと言えばマットレス」みたいなイメージが定着したかといえば、想像にかたくないのはテレビ番組。
「えぇ!?ベッドが無いんですかぁ!?」
という特集がやたら組まれた。キャッチーにするためだ。
番組に出演する「一般市民」は実は駆け出しの役者であったり
SNSでそれっぽい人をつかまえてインタビューしていたりする。
別番組でもディレクターは一緒だったりする。
すると使い回しのように似たような生活環境がなんども「これがミニマリスト」と紹介され、記憶に根付いてしまった。
別にベッドがあろうがミニマリズム。
そんな空想よりも、もっと目を向けないといけない現実がある。
目指しているなりたいミニマリストによっては、カネがないと続かないという点だ。
ミニマリストは自分の最小限度を追求するもの。
「ミニマリストになりたい」という場合、ほとんどはイメージする理想の誰かがいる。
その憧れる相手、収入源と年収いくら?
ミニマリストの種類
ザックリと分けよう。
①富裕層のミニマリスト
②一般家庭ミニマリスト
なりたいのはどっちなのかを判断してからじゃないと大変なことになる。
なぜなら、憧れのあのミニマリストが富裕層かもしれないからだ。
ミニマリズムに貴賤はないが、
なれるミニマリストと、なれないミニマリストは存在する。
そもそもマネするものではないのだが、突き進んだすえに生活を壊さないよう一度考えてみよう。
このふたつをもっと簡単にいえば
・「働かせる側」と「働かされる側」
・「時間を自分で決めていい人」と「時間が決められている人」
たいていの場合、憧れは富裕層。
人生の縛りプレイを楽しんでるパターン。
ミニマリストの元ネタ、アメリカでよくある、
「なん億ドル稼いでも幸せになれませんでした。
しかしミニマリズムのおかげで今では彼女が出来て試験に合格し……」みたいなパターン。
日本だと時間を自由に決められる売れっ子YouTuberとかがこれにあたる。
なぜ憧れの"持たない人"になれないのか
普通の人は②の一般家庭ミニマリストで、富裕層でもなければ時間が自由でもないから。
ハッキリいってしまうと、金があるからこそできるミニマリストの姿がある。
というかそもそもからして、ブームの元ネタってそういう趣旨。
ありあまる金で得たあふれんばかりのモノから脱却したら幸せになれました、という話
だから憧れのミニマリストは普通に金持ち。時間もたくさん持っている。
そういう場合、マネしようとしても経済的にマネできない。
時計がいらないのは
自分の時間は会社に決められていないから。
時間をちょくちょく確認する必要がない。
手帳がいらないのは
自分の予定は最低限しか知らなくていいから。
自由にできるし、それは秘書の仕事。
電卓がいらないのは
いちいち値段を比較して買い物しないし計算は社員の仕事だから。
電卓ではじき出された結果だけ聞いて判断を下すのが自分の仕事。
つまり
憧れられている「持たない人」は
結果的に持つ必要がなかっただけの人
普通の人は持つ必要があるから
「持たない人」のマネをして物を捨てても
必要だから買い戻すことになる。
電卓で言えば、マネをして捨てても一般人が日常的に計算をすることに変わりない。
家計簿、ポイ活、特売品。
計算を肩代わりしてくれる機械を捨ててしまった以上は、
何かしらでカバーしないといけない。
それが「スマホのアプリを起動するまでの時間」。
差分の代償に支払っているものは「時間」。
時計や手帳も同じ。
必要な人が必要な物をカッコよさのために捨ててしまえば
代償を払わないといけない。
ミニマリストが電卓を買い戻す理由
一般家庭のミニマリズムには必要なものだったから。
有名人のマネをして捨ててはみたものの、そのあと必要な場面がちょくちょく出てきてしまう。
スマホの電卓アプリでは計算に時間がかかる。
スマホのロックを解除してアプリを探して2本指でポチポチ……
やってられない。デカい電卓を五本指でガガガッと計算。
電卓を捨ててしまっては、結局は時間も捨ててしまっている。
電卓・手帳・時計を買い直す段階で気がつくのだ。
そもそもミニマリストが「単に所持品が少ない人」ではないことに。
時間を節約し
自分の好きなコトにお金と時間を集中する人。
つまり「選択と集中」のサイクルを回し続けたら、
結果的にたまたま趣味以外の物が少なくなっただけの人たち。
あるいは趣味以外に意識すらさかない人。
そして、自分の時間を増やすための物ならば
必要なものとして残ったり、
捨てても必要なことに気がついて買い戻す。
一般家庭のミニマリストは
好きなことにお金を集中するため1円単位の節約もするし
節約をする過程の時間を削減するためなら趣味と違うものだって買う。
ミニマリストの部屋に電卓があるのは
スマホより時間を作ってくれるからだ。
スマホのアプリを開くための数秒すらも節約しようとすると二択しかない
①電卓を持つ
②そろばんを習って暗算を習得する
実際に私の友人はミニマリストなのだが、
今後の人生でどれくらいの時間を節約できるか算出した結果
そろばん教室で暗算を習得するのに勉強する時間と、
今後一生で計算に使う時間を比べたら
そろばんのほうがコスパ良い
という結論にいたったらしい。
「時間の先行投資」を済ませ、今はもう暗算で全部済ませている。
そこまで突きつめる人はそうそう居ないので
大抵の人は電卓を持つという選択になるという話。
普通はそろばんを習いに行く時間をやりたいことにまわす。
部屋に物がたくさんあってもミニマリスト
ミニマリストの逆をいう「マキシマリスト」。
ニュースの「ゴミ屋敷」とかがイメージしやすい。
あれは取材を受けている本人も言っている通りミニマリズムとは違う。
ただ無作為に、いつか必要になるはずだからと収集し捨てられないだけ。
物が沢山あったんじゃミニマリストとは呼べなさそうだが、
ミニマリストたちに聞いてみるとそうでもないらしい。
「物さえなければミニマリスト」というのは違うし
「物が多いからミニマリストじゃない」も違う
例えば「散歩」に全てを注ぎ込むふたり。
ある人はオーダーメイドの靴と服、安い仕事着くらいしか持ってなくて
いかにも「ミニマリスト」って感じ。
もうひとりは靴と仕事着だけ。
ただし靴が365種類あって部屋パンパン。
靴のマキシマリストに見えるけど、
家具家電はないし、他の出費といえば
自費での高度な足の検査とメンテナンス。
「毎日新鮮な気持ちで一生歩く」ことに全てをつぎ込んでいる。
「散歩以外はいらない」という人だが、靴の量がすさまじい。
カレンダーと同じ並べ方でキレイにびっしりと部屋に靴が整備されている。
一般的には「ミニマリスト」とは呼ばれないだろうが
靴がどれだけ多かろうとミニマリストだと思う
「散歩」のために他のムダを捨て去っている
いかに散歩の時間を増やすか
いかに散歩を楽しむかを考え抜いている
自分にとっての幸福を追求した結果が「散歩」だったのなら、
散歩グッズがいくらあってもミニマリズム
そして共通しているのは、ふたりとも「ミニマリスト?なにそれ」という感覚。
ミニマリストがはやりだす前からそうしてきたし、目指したわけでもない。
「ミニマリズム」という概念が言語化されようがされまいが関係ないのだ。
趣味をつきつめた結果、ミニマリズムを体現していただけ。
ミニマリストの所持品は意外に多い
例えば、映画に全力をつぎ込みたいミニマリストはどうなるか。
劇場に行くのはもちろんのこと、部屋は物であふれている。
ホームシアターを持っているし、極上のソファもある。
オカルトな音響機器も数しれず。
物が非常に多いが、代わりに冷蔵庫すらなかったりする。
あるいは、よく想像されるコーヒー好きのミニマリストは?
豆の真空保存容器や焙煎器具、抽出方法それぞれの道具を揃えている。
見せてないだけでモノは大量に持っている。
部屋がコーヒーグッズであふれていても、一極集中しているミニマリストだ。
でも、別に時間にしばられない有名YouTuberでもなければ不労所得で生活しているわけでもない。
普通に会社で働いている一般の会社員。
趣味の物だってAサイトとBサイトのどっちで買うかには厳しく計算して節約する。
「電卓があったほうが時間の節約になり自由な時間を増やせる」
「時間を確認するために、いちいちスマホ出してたらストレス」
「商談してるのに客の前でスケジュールアプリをポチポチできん」
という結論にいたる。
これが富裕層なら全く違う。
ホームクリーニング業者と契約してるから部屋に掃除機がなく、
料理代行サービスや宅配洗濯サービス頼んでるから冷蔵庫や洗濯機がない。
コンシェルジュや使用人に借りるから文房具や工具は部屋にない
働く必要がないから仕事服もない
邪魔は全て対価を払って排除し、没頭する
お金があるほど物は減らせる。
でもミニマリズムの本質は物の数ではない。
富裕層も、そうした方が時間が生まれて集中できるからそうしただけ。
ミニマリズムは本人の幸せを基準に考える。
部屋になにもないけどミニマリスト「ではない」
もう一つの例。
「部屋の物が仕事用のスマホ1台になるなら、
ゴミ箱も消すために毎日外食するし、
そもそも銭湯と共同トイレだから
部屋にはお風呂もトイレもない。
長い時間をかけてシンクで服を洗って
頑張って物干し竿を外してそこに通す。
石けん?ないよ、お湯で十分。
そしたら自然と夜になってて、
何もない部屋をみて満足しながら床で寝るんだ」
この人はミニマリストと呼ばれるだろうけど、本質的には違う。
いや、私はミニマリストではないよ
単にキレイな部屋が趣味なだけ
非日常的なスッキリ空間を見ているとゾクゾクする
そのためなら不便で結構
「何もない空間」を突き詰めただけで
本人は趣味みたいなものという認識でしかない。
このタイプはなろうとしなくても自然になっている。
ただ、何もない空間にゾクゾクする人のなかには所持品は全て子供の頃からのもらいもので
捨てられなくて大量のモノであふれているという人もいる。
そういう人は覚悟があるなら、
いっそ他人に一度全部捨ててもらうのが残りの人生を幸せに過ごせる。
引っ越す前に内見するでしょ
その時にビビっと来たらなにも持たずに引っ越して
できる限りなにも持ち込まないスタイル
昔、覚悟を決めて引越し業者にほとんど引き取ってもらった
一般家庭ミニマリストの進みかた
世の中の「ミニマリストを目指して頑張る」という人はたいてい2種類に分けられる。
「集中したいなにかがあってミニマリズムを取り入れたい」
「非日常感のあるキレイな部屋にあこがれている。というか片付け上手になりたい」
まず自分がどっちのタイプなのかを考えよう。
①
・余計なものに時間をさかれたくないからミニマルを目指している
・邪魔を排除してリソースを好きなことに集中したい
・ミニマリストは手段であって目的ではない
・維持費のように時間を取られるなら本末転倒だと思う
②
・部屋が何もない状態になるなら時間を全て回せる
・ミニマリスト的な空間がゴールなので不便や不自由も含めて楽しめる
・ミニマリストが目的
・最小単位の生活が趣味
①の人はモノが元より増えたとしても時間を生み出してくれる道具は積極的に導入したほうが目的に合う。
電卓などはむしろあったほうがいいし、
食器洗い乾燥機やドラム式洗濯乾燥機も増やすべき。
時間基準で今あるものから引き算するといい。
②の人は逆に1回業者に頼んで全部捨てて、
完全にリセットしたほうが幸せになれる。
ゼロから必要なものを買う足し算。
おそらくほとんど買わないだろう。
このタイプの人は自分のものが元からほぼない。
子供の頃からの誕生日プレゼントやお祝いを
溜め込んでしまっただけなので
誰かが無責任に全部捨ててしまえば完了。
まとめ:ミニマリストの「正解」はあなたの中にしかない
例えあこがれのミニマリストと同じ部屋をもらったとしても、不便で不便で仕方がなくなる。
すぐに生活できなくなるだろう。
なぜなら、その写真バエする部屋はそのミニマリストが削って削って出来上がった部屋だから。
その人の手作り、オーダーメイド。
最初はモノマネでも良いかもしれないが、正解はあなたの中にしかない。
あなたにとっての最小限度を探すのがミニマリズム。
陶芸のように削ったり形を変えたりするもの。
同じ量の土を与えられて、完成したのが同じ重さでも色や形は人それぞれで全く違う。
どこに比重をおくか、幸せに感じるかが違うからだ。
なので、むやみやたらに捨てまくったりマネをするのはよそう。
世の中には大量に持っているミニマリストだっているのだから